8月18日 月曜日
しばらく前から、クリニックに「自分はADHDではないか?」と相談に来られる大人の方が増えています。
大人のADHD(注意欠如多動性障害)は、大人になってから発病するADHDではありません。ADHDは、大体12歳よりも前に発病しています。他の発達障害と違うのは、年齢が上がるにつれて症状が軽くなり、18歳位までには治ってしまうことが多い点です。
18歳以降も症状が続く場合を大人のADHD(アダルトADHD)と言っています。ですから、症状は子供の頃からあるのです。
ADHDが病気として、一般に知られるようになったのはここ10年位のことです。今の大人が子供の頃は、ADHDは病気として認知されておらず、不注意や多動は性格のせい、親のしつけが不十分なせいなどと考えられていました。そのため、大人になって初めて自らのADHD症状に気づく場合が少なくありません。最近では、大人のADHDについての一般向けの情報が多くなりました。こうした情報に接した方が、「自分は大人のADHDではないか?」と疑うようになりました。
成人以降もADHDの症状を持ち越すのは、およそ3分の1です。成人以降も症状が長引くと、仕事にいろいろな支障が出てきます。
たとえば、仕事でミスや失敗を繰り返す、上司の口頭での支持を忘れてしまいやすい、会議で他の人が話しているのを集中して聞くことができないなどです。また、複数の仕事を平行してこなすことができないこともしばしばみられます。ADHDでは、不注意と多動•衝動性の症状がありますが、おとなのADHDでは、主に不注意症状がみられます。
最近では、ADHDは病気として認知されるようになり、日本国内でも、正式に認可された治療薬が使えるようになっています。薬物療法は約3分の2の患者さんで有効です。
ADHDではないかと不安になったら、医療機関を受診するようにお勧めします。
なお、おとなのADHDについては、「発達障害に気づかない大人たち」(祥伝社)にわかりやすく書かれています。気になる方は、ご一読をお勧めします。
院長 高橋