2025年7月21日(月)
「人前で話すと頭が真っ白になる」
「会議やプレゼンで手が震える」
「初対面の人と話すと変な汗が出る」
こうした“極度の緊張”に悩んでいる方はいませんか?
もしかするとそれは、社交不安症(社交不安障害)という病気かもしれません。
社交不安症とは?
社交不安症は、他人に注目されたり、どう見られているかが気になる場面で、強い不安や緊張を感じてしまうこころの病気です。
日本では「対人恐怖症」と呼ばれていましたが、これは恥ずかしがり屋や内向的な性格とも関係しています。ただし、単なる性格の問題ではありません。強いストレスや心身の負担が重なることで、脳の働きが過敏になり、自分でコントロールできないほど症状が悪化することがあります。この場合、治療が必要な精神的な病気と考えられます。
どんな症状があるか
- 人前で話すと動悸、発汗、震え、声のふるえが出る
- 会議や面接、発表などの前に強い不安が続く
- 注目されることを避けてしまい、生活や仕事に支障が出る
- 失敗したらどうしよう、人に笑われたらどうしようという思考が頭から離れない
こうした状態が「甘え」「努力不足」「根性が足りない」と誤解されることもありますが、実際には脳内の神経が過敏に反応し、不安や緊張を感じやすくなっている状態であり、意志や性格だけで乗り越えられるものではありません。
社交不安症がもたらす影響
- 他人との関わりを避けてしまい、孤立しやすくなる
- 外出や通勤、人前での食事などが苦痛になり、日常生活が制限される
- 自信をなくし、行動そのものが減ってしまう
- 不安を紛らわせるために飲酒などに頼ってしまうことがある
治療で改善が期待できます
社交不安症は、正しい治療によって改善が見込める病気です。主な治療方法は次の通りです。
薬物療法
SSRIなどの抗うつ薬が効果的です。抗不安薬と異なり依存性がないため、安心して服用を継続できます。
行動のサポートと生活調整
不安があっても、必要な行動を少しずつやってみることが回復への第一歩になります。避けていた場面にゆっくり慣れていくことで、不安や緊張も和らいでいきます。
治療の方向性は?
いきなり「不安をゼロにする」ことを目指すのではなく、不安があっても必要な場面で落ち着いて行動できるようにしていくことが治療の基本です。
その過程を重ねていくことで、少しずつ不安や緊張が軽くなり、日常生活が楽に感じられるようになっていきます。
最後に ―「不安や緊張」は努力不足ではありません
人前での不安や緊張は、誰にでもあるものです。
しかし、それが日常生活を制限してしまうほど強くなる場合、それは単なる性格の問題ではなく、心や神経がとても敏感になっている状態です。
社交不安症は恥ずかしいことではなく、意志や根性だけで乗り越えるものでもありません。
人前で過度に緊張してしまうのは、努力が足りないからではなく、脳が人前という状況を「危険なもの」と判断し、防衛反応として不安や緊張を強めてしまっているのです。
正しい治療とサポートによって、不安は少しずつ落ち着いていきます。
必要に応じて、心療内科や精神科に相談することをおすすめします。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏