いつまでも続く不安にとらわれていませんか ― 全般性不安症とは
2025年9月22日(月)
「常に将来のことが心配で落ち着かない」「夜になっても不安が強く眠れない」――。こうした終わりのない不安に、とらわれていませんか?
不安は誰にでもある自然な感情ですが、長く続くと病気のサインである可能性があり、注意が必要です。もしその不安が半年以上にわたり、ほぼ毎日続いているとしたら、それは全般性不安症(GAD)のサインかもしれません。
全般性不安症とは
全般性不安症は、日常生活のささいな出来事や将来への漠然とした不安に対して、過度な心配が続く病気です。不安は誰にでもありますが、不安にとらわれている状態が、半年以上にわたりほぼ毎日続くのが特徴です。
「子どものことが心配」「仕事の失敗が気になる」「健康に問題があるのでは」といった思考が止まらず、同じことばかり考え、不安によって心身の疲れが強まっていきます。
どんな症状が出るのか
- 不安や心配が頭から離れない
- 集中できない、落ち着かない
- 疲れやすく、気力が出ない
- 肩こりや頭痛、動悸、発汗、胃の不快感
- 不眠(寝つきが悪い、夜中に目が覚める)
このような症状が続くと、日常生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。
「気のせい」ではなく、体と心の両方に悪影響が出る病気なのです。
他の不安障害との違い
- パニック障害:突然の強い発作が特徴。
- 社交不安症:人前での緊張や対人場面が中心。
- 全般性不安症:場面を問わず「漠然とした不安や心配」が長期間続く。
このように、不安障害は症状の出方に違いがあります。
改善のために
全般性不安症は、適切な治療で改善が期待できます。
- 薬物療法:不安の過敏さを和らげる薬が有効です。必要に応じて、睡眠薬が併用されることもあります。
- 不安との向き合い方:不安を「完全に消そう」と頑張るほど、かえって強まります。大切なのは、不安を無理に消そうとせず、「不安を抱えたままでも、やるべきことはやる」という姿勢です。不安があってもいつも通りの生活を続けていくことが、回復につながります。
- 生活習慣の改善:規則正しい生活、適度な運動、そしてカフェインやアルコールを控えることも、不安を和らげるうえで大切です。
おわりに
不安は誰にでもあるものですが、止められないほどの不安や心配が続くとき、それは病気のサインかもしれません。全般性不安症は「気のせい」ではなく、適切な理解と治療を受ければ必ず改善します。
「もしかしたら病気かもしれない」と感じたときは、一人で抱え込まず、早めに専門の医療機関にご相談ください。あなたの心の声に耳を傾け、解決への道を歩んでいきましょう。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏