うつ病は、順調にいくと3ヶ月程度で良くなりますが、症状の改善は少しづつ起こります。
まず最初に良くなるのは、いらいら感です。続いて中心的な症状のうつ気分(落ち込んだ感じ)が良くなります。ここまでに大体2ヶ月位かかります。最後に良くなるのは、おっくうな感じで、この頃になると意欲が出てきます。全身倦怠感(身体のだるさ)が良くなるのもこの頃です。
大体こんな感じで治っていきますが、症状の改善は一方的に良くなるわけではありません。良くなったり、少し悪くなったりしながら、少しづつ治っていきます。やっと良くなったかと思ったのに、また悪くなると治療が振り出しに戻ったように見えますが、そうではありません。悪くなったように見えるだけで、治療は進んでいます。最初は、1週間のうち良い日と悪い日が半々位のことが多く、次第に良い日が増えていきます。
うつ病は、完治できる可能性が高い病気ですから、「必ず病気は治る」と信じて治療を続けて下さい。治療の基本は、休養とお薬です。健康的な生活を心がけ、規則的な生活を続けて下さい。具合が良くなると、ついつい無理をしたくなりますが、回復した体力以上に頑張ってはいけません。今ある体力の範囲で無理なく動いて下さい。
うつ病の患者さんは、生真面目で責任感が強い人が多く、休養することに罪悪感を抱く患者さんが多いですが、休養に罪悪感は不要です。休養はうつ病を治すためにはどうしても必要で、休養を指示したのは主治医です。患者さんが自己判断で休んでいるわけではないのです。ですから罪悪感を持つ必要はありません。
具合が良くなると、薬を飲み忘れたり、自己判断で薬を減らしてしまう患者さんがいます。薬の調整は自己判断で行ってはいけません。おもわぬ症状の悪化を招いたり、症状が治りにくくなったりします。自分が飲んでいる薬に疑問があったら、遠慮なく主治医に質問しましよう。その上で、薬の調整に責任を持つ主治医の判断を待ちましょう。
うつ病は「自分で治す病気」ではありません。主治医のサボートを受けながら、休養とお薬を続けていけば「自然に治っていく病気」です。焦らず、信頼できる主治医と相談しながら療養生活を続けて下さい。
院長 高橋道宏