睡眠力をつけよう

2016年11月7日 月曜日

心の病気になると眠れなくなり、眠るために薬が必要になることが少なくありません。心の病気が再発する時にも、眠れないという症状から始まることが多く、不眠は再発の兆候と考えることもできます。ですから、心の病気の治療の中では、睡眠障害に注意を払う必要があります。寝つきが悪く眠れるまで1時間以上かかる、途中で目覚めてしまいその後寝つけなくなる、いつもより睡眠時間が2時間以上短いなどの場合は睡眠薬が必要になるかも知れません。

睡眠薬には薬が効いている時間が短い(短時間作用型)ものと、それよりも長く効くものとがあります。一般に「入眠剤」、「睡眠導入剤」と呼ばれているものは短時間作用型の睡眠薬で、薬が効いている時間は大体2時間程度です。薬が効かなくなった後は、薬なしで自然に眠ることになります。夜中に何回も目覚めてしまう場合は、もう少し長く効くお薬が必要になるかも知れません。このようにお薬は睡眠障害のパターンや程度に応じて使い分けます。

「薬を飲まないと眠れない」ことに抵抗感が強く、できるだけ早く睡眠薬をやめたいと考える方が多くおられます。確かに薬なしで眠れるに越したことはありません。しかし、急に薬をやめたり、無理な減量をするとかえって精神症状が悪化することがあります。眠れないと心も身体も疲れが取れず、心の病気の回復に悪影響を及ぼすからです。薬を減らすのは眠れる力(睡眠力)を十分に身につけてからにしましょう。

睡眠力をつけるためには、まず心の病気を安定させることです。心の病気が安定すれば、薬無しでも眠れるようになります。また日光を浴びることを心がけましょう。日光を浴びることで体内時計をリセットすることができます。睡眠時間には個人差があり、必ずしも6ー7時間眠る必要があるというわけではありません。必要な睡眠時間は心と身体の疲れが取れるかどうかで判断します。理想的な睡眠を求め過ぎ薬を使い過ぎないようにも注意する必要があります。

院長 高橋道宏

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