社交不安症の治し方

2019年2月19日 月曜日

「人前で話すとき、ひどく緊張して、上がってしまう」「人前で食事ができない」「人前で字を書くとき、手が震えてしまう」など、人前で強い不安、緊張、時には恐怖さえ感じ、日常生活や仕事にマイナスの影響が出てしまうことがあります。

このようなことが頻繁にみられる方は、社交不安症という心の病気である可能性が高いと思います。社交不安症という病名は、アメリ力精神医学界がつけましたが、以前から日本で知られている対人恐怖症とほぼ同じものです。

人前で緊張したり、不安になるのは、自分の性格の問題だと思 い、病院を受診することをためらってしまいがちですが、社交不安症は治療により大きく改善します。単に性格の問題として片付ける必要はありません。

社交不安症では、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きが乱れているため、 SSRIというセロトニンを増やすお薬がよく効きます。服薬を続けると、約半年程で不安、緊張の程度は半分位に減っていきます。

お薬により不安、緊張の程度が軽くなると、少しづつ他人の目を意識しなくなるようになります。お薬による治療を続けて不安、緊張を和らげながら、仕事や私生活などのさまざまな場面で人と関わる経験を深めていくことが大切です。

人に対する過度な緊張、不安を根本的に治すためには、人はそんなに怖いものではない、不安になる必要はないということを体験することが大切です。頭だけではなく、体で理解するのです。

このように社交不安症の治療では、お薬によりある程度良くなってきた時に、それだけで満足せず、さらに一歩進んで不安の元になっている原因を解消することが大切なのです。例えば、さまざまな体験を通じ、多角的な物の見方を学ぶことが大切です。

不安になっている時は、画一的な物の見方しかできないことが多いものです。多角的な見方を身に付けることで、自分が不安に思っていたことが、何の根拠もなかったことに気がつきます。

社交不安症の治療では、お薬により不安、緊張を軽減し、その後不安の原因を解消できるように行動していくことが大切です。

このような治療を根気よくやっていけば、必ず完治する日がやってくるでしょう。不安や緊張から解放される自分をイメージしながら、治療を進めていきましょう。

院長 高橋道宏

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