ADHDの薬は万能か?

2017年5月15日 月曜日

注意欠如多動性障害(ADHD)の治療では、国内で2種類の薬が使われています。特徴は異なるものの、それぞれの薬は3分の2位の患者さんに効果があります。残り3分の1の患者さんも部分的な効果はあり、全く薬が効かない患者さんは少ないのです。仮に最初に服用した薬で効果がなくても、薬を変更すると、効果を実感できるようになることが多いです。

薬が効いてくると、集中できるようになり、ミスが少なくなります。そわそわせず、落ち着いて行動できるようになります。それまで集中できずボヤッとしていた人も、頭の中がハッキリして仕事や勉強に集中するようになります。当院で治療を受けた中高生のほとんどは、学校の成績が向上しています。ADHDは精神科の病気の中でも、薬の効果が実感しやすい病気です。

一方、症状が完全になくならないこともあります。集中力やミスは早期に改善しますが、部屋の片づけ、時間の管理、計画的な行動などは十分に変わっていないことが多いのです。こうした点を変えるために、集中力の改善は必要ですが、それは単に必要条件に過ぎません。行動パターンは、薬を飲んでいても自動的に変わるわけではありません。行動を変えるためのトレーニングが必要なのです。

ADHDの治療では、薬の効果が出てもそれに満足してはいけません。部屋を片づけたり、時間を管理する、計画的に行動するなど、自分が不得手とする点のトレーニングを心がけましょう。独りよがりにならず、主治医から行動パターンをどう変えるべきかアドバイスを受けましょう。薬は効果がありますが、万能ではありません。薬と生活訓練を組み合わせ、最大の治療効果を引き出しましょう。

院長 高橋道宏

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