こころの薬はいつまで必要なのか?

2016年1月11日 月曜日

今日は成人の日です。新成人の方、おめでとうございます。日本では20歳で成人ですが、国際的には18歳で大人として扱われる国がほとんどです。身体的には18歳で成長が完了し大人とみなされますから、18歳で成人は合理的だと思います。日本でも18歳で選挙権が認められるなど、徐々に18歳成人の流れが進んでいます。

さて、精神医学過去50年間の功績として、心の治療に使われる薬の進歩があります。良い薬が多く開発されたお陰で、これまで治療を受けることができなかった患者さんが安定するようになりました。しかしながら、治療が進み安定した患者さんから、「もうそろそろ薬を減らしたい」という言葉を聞くこともあります。

ある程度精神的に安定してくれば、薬を減らしたいと思うのは当然のことです。これは当院に通院する日本人の患者さんでも外国人の患者さんでも同様です。ですから国を超えた患者さん共通の欲求と言えます。しかし、薬を減らして良い心の病気とそうでない心の病気があります。

統合失調症、双極性障害などは薬を減らすと症状が再発する病気と考えられています。特に統合失調症は、再発すると再発以前の生活機能を回復することが難しく、維持療法としての薬は必要です。不安神経症など、薬を減量可能な病気は治療の進み具合で薬を減らすかどうか検討します。

薬の減量や中止が可能な病気の場合、治療の進み具合は、単に症状かあるかないかではなく、どれだけ心に余裕があるかで判断できます。薬を飲んで気持ち的に精一杯の場合、まだ薬を減らすのは早いと思います。薬は心の病気を持つ人を助けてくれる良きパートナーです。減量や中止を焦らず必要な薬はきちんと服用するようにしましょう。

院長 高橋道宏

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