おはようございます。院長高橋です。
私が医師になった頃に比べると、大人のうつ病は確実に理解が進んでいます。多くの会社は、うつ病であることがわかると、「無理をして出勤しないように」「復職は無理をせず段階的に」などと治療に協力的な対応を取るようになって来ています。
それに比べると、中高生のうつ病はまだまだ社会的に認知されているとは言い難いです。しかし、子どもにも確実にうつ病は存在し、その割合は親世代と比べると多くなっています。親世代の頃には同級生にうつ病はあまり多くなかったため、中高生のうつ病と言われても今一つピンとこない親御さんが多くおられます。
ここ20-30年位の間の変化は、子どものうつ病が増加したことです。海外でも国内でもうつ病の低年齢化が報告されており、もはや現代では子どものうつ病は大人のうつ病と同様にこころの治療の大きな課題となっているのです。
中高生のうつ病では、うつ病に似た適応障害(軽度のうつ状態で比較的早期に回復する)の割合も多く、治療上はうつ病と見分けることが必要です。当初の治療法はあまり変わりませんが、ある程度回復してきた時のアプローチが異なるからです。
適応障害であれば、「多少辛くても登校する」など本人の回復期には本人の自己努力も求められますが、うつ病であればより慎重に回復を待たなければなりません。本人は「学校に行きたくてもいけない」のであり、こころに痛みを感じています。このような時に本人を叱責すれば、こころが深く傷つきます。ですからうつ病の子どもを叱ってはいけないのです。
中高生のうつ病の多くは、大人のうつ病と同様に適切な治療により回復します。当院に通院していた中高生の多くは、なんとか回復し、その後大学進学を果たしています。高校3年位で発病すると、大学に進学しても1年生の頃は多少うつが残り、あまり活発でないこともあります。しかし、多くの場合、卒業する頃になると元気に就活に励んでいます。
中高生のうつ病は、大人になってから再発するリスクが高いなど将来にマイナスの影響を与える可能性もあるため、早期受診をお勧めます。早期受診することで治療結果が良好なものとなります。
治療は信頼できる主治医に委ねる他ありませんが、生活の場である家庭は子ども達がいつも安らげるいやしの場であることが望まれます。うつ病の子どもに対して安心できる家庭環境を提供することがとても大切なのです。
追伸 写真は先週の診察室にあったお花です。黄色のラナンキュラスはとても人気がありました。生花に癒されるとおっしゃる患者さんがいてとても嬉しく思いました。
院長 高橋道宏