2016年5月2日 月曜日 晴れ
ストレスは心の病気を引き起こすと言われています。たとえばうつ病は職場や家庭のストレスが原因となることが多いのは周知の通りです。最近は子どものうつ病が目立つようになりましたが、子どもの世界も様々なストレスにさらされていることの証拠でしょう。ストレスはこころの病気の大敵ですから、こころの病気の予防はストレスを避けることが基本になります。
しかし、ストレスがすべて悪いわけではありません。ストレスには本来自分を高めてくれる有益なものもあります。これが「善玉ストレス」です。仕事でも勉強でもスポーツでも、プレッシャーに負けず苦しい中で真摯に努力するから成果が出ます。またその過程で人格も磨かれるのです。人は皆弱いですから、ある程度競争などのストレスがないと堕落してしまいます。
これとは反対に、こころの病気の原因になるストレスがあります。これが「悪玉ストレス」です。悪玉ストレスで特徴的なのは、自分や周囲の人に対するマイナス感情です。嫌悪感、敵意、嫉妬などのマイナス感情はこころを疲弊させ、人間関係に歪みをもたらします。うつ病の原因で深刻なのは人間関係のストレスです。このような悪玉ストレスは回避する必要があります。
善玉ストレスも悪玉ストレスもストレスである以上心地良いものではありません。ですから、私たちはストレスを回避しようとする本性があるのです。しかし、すべてのストレスが悪いと誤解してしまうと、善玉ストレスまで排除してしまいます。悪玉ストレスを避け、善玉ストレスを生かすことがメンタルに強い自分をつくりだすのです。
時と場合によっては、ストレスを回避せず消化することが病気に打ち克つことにつながります。
院長 高橋道宏