2016年6月20日 月曜日
こころの健康を回復したい、予防したい、ストレスに負けない強いこころをつくりたい。と多くの人が考えています。うつ病で休職に追い込まれる方は多く、近年は子どものこころの病気や発達障害が広く一般に知られるようになりました。また、高齢化社会になり、認知症の予防に多く関心が集まっています。このような社会的背景の中で、こころの健康の増進の重要性を多くの人が認識するようになってしまいます。
こころの健康を増進するために良く言われるのはストレスの軽減です。しかし、以前このブログでも書いたように、ストレスには善玉と悪玉がありますから、すべてのストレスを一律に避ければ良いという単純なものでもありません。悪玉ストレスを避けることは必要ですが、善玉ストレスまで避けてしまうと、こころが脆弱になってしまうからです。ですから、ストレスの軽減だけでない積極的な対応策が必要です。
例えば、認知症の予防では、単に記憶に関する部分の脳だけでなく、体操をしたり、歌を歌ったり、絵を描いたりして多角的に脳を使うことの重要性が理解されるようになりました。記憶力だけでなく、脳の様々な部分を多角的に使うことが大切なのです。脳はその部分部分により役割が異なります。多様な活動を通して脳の様々な部分を使うことで、脳全体が活性化し、認知症の予防に役立つと考えられています。
脳は各部分で役割が異なると同時に、各々の部分が互いに連絡を取り合い、ネットワークを形成しています。ですから、脳を多角的に使い活性化させることは、脳の各部分が互いに良い影響を与え合い、認知症だけでなく、多くの心の病気の治療に役立つと考えられます。普段やらない苦手なことも含め、いろいろなことに積極的に取り組み、脳全体を活性化する。そのような気持ちで日々を過ごすことがこころの健康の増進に役立つと思います。
院長 高橋道宏