いつになったら治るのか?

2016年10月3日 月曜日

「うつ病の治療にはどの位時間がかかるのか?」という質問をしばしば受けます。病気のために仕事ができなくなったり、家事や育児のサポートを受ける必要があるため、当を得た質問です。「急性期のうつ病は3ヶ月程度で落ち着く」など教科書的な目安はありますが、メンタルヘルスの世界は個人差がとても大きく、あくまで参考にしかなりません。

身体の病気と比べ一般論が当てはまらない理由は、心の病気では生育歴、家族関係、職場環境、受けているストレスの程度など多くの要素が複雑に絡み合い、回復に影響を与えているからです。そして、そうした要素には大きな個人差があるのです。ですから、治療は一般的な治療の流れを参考にしつつも、一人一人の置かれた状況に合わせて進めていくことになります。

「いつになったら病気が治るのか?」と考え過ぎると、頭が空回りして不安になってしまいます。うつ病は、以前このブログでも書いたように、良くなったり、悪くなったりしながら波打つように治っていきます。その時々の症状に一喜一憂すると、本当は回復に向かっているのに、悪くなったと誤解し、悲観的になってしまいます。この誤解が病気の回復に悪影響を与えるのです。

ですから、うつ病がいつ治るのかと過度に考えすぎないないようにしましょう。回復の仕方には個人差がありますから、身近に同じ病気で悩んでいる方がいても、その人と自分を比べないようにしましょう。うつ病は不治の病ではありません。多くのうつ病は回復可能です。治療期間が長くても良くなった方はたくさんいます。個人差を理解し、「病気はかならず治る。」と信じて治療を続けましょう。

院長 高橋道宏

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