不安のマジック

2017年4月3日 月曜日

人は誰でも不安になりますが、心の病気になると必要以上の不安に振り回され、苦しむことが少なくありません。特に不安が主な症状である不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害など)では、いつも不安について考えていて、そのことで頭がいっぱいになっています。考えても仕方がないと分かっていても、なかなか考えるのをやめることができません。

これは一種の心のこだわりで、不安にとらわれてしまっているのです。不安にとらわれると、ますます不安について考えてしまう。考えれば考える程どんどん不安になっていきます。このような悪循環を繰り返すうちに不安障害になっていくのです。不安障害になると、不安について考えるのを止めたくても止めることができず、とらわれから自由になれないのです。

不安になると不安のマジックが心に働きます。不安のマジックが働くと、実際には起きる可能性が少ないことが、いかにも自分の身にすぐにでも起きるようにリアルに感じられます。まさに魔法のようなものです。医学的に言えば、不安による認知の歪みです。このような不安の虚構、不安のマジックに後で気がつくと、何でこんなことで不安になっていたのかと思うようになります。

不安のとらわれから解放されるためには、不安のマジックに基づいて行動するのは止めましょう。不安のマジックにより行動するとますます不安になってしまうからです。現実にしなければならないことは、不安があってもするのです。例えば、会社や学校に行く、電車に乗るなどの日常の行動です。不安にさいなまれても、やるべきことはやる。このような行動の積み重ねで、不安のマジックから少しづつ解放されていくのです。

院長 高橋道宏

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