2017年8月7日 月曜日
最近では、ADHD(注意欠如多動性障害)について一般に広く知られるようになり、ADHDを疑い当院を受診する方が多くおられます。ところが、実際に診察してみるとうつ病であったというケースもあります。「集中力がない」「不注意なミスが続出する」「人から言われたことを忘れてしまいやすい」などADHDに特徴的な症状は、うつになった時にも認められるからです。
こうした症状がADHDによるものなのか、それともうつ病によるものなのかで、その後の治療のは異なったものになります。ADHDとうつ病は全く異なる別の病気です。ADHDは発達障害で、うつ病は感情の病気です。全く異なる二つの病気ですが、この二つの病気が同時に存在する場合があります。これはADHDの方がうつ病になる場合です。
ADHDの方は、集中力が足りない、ミスが多いなどのハンディキャップのために、仕事や学校、家庭生活でストレスを抱えやすく、こうしたストレスの結果うつ病になることが多いのです。また、ADHDの方は子供の頃からとかく叱られることが多く、ほめられることが少ないため、自分に自信がなく、うつ病になりやすいとも考えられています。
ですから、必ずしもADHDかうつ病かと二者択一に考える必要はありません。この二つの病気が両方ある可能性も考慮し、治療を進める必要があります。主治医に「自分はADHDなのか?うつ病なのか?それとも両方の病気を持っているのか?」を教えてもらい、それぞれの場合に応じた日常生活上でのアドバイスを受け、治療を成功させましょう。
院長 高橋道宏