ADHDと併存障害
2018年2月12日
ADHD(注意欠如多動性障害)では、ADHD以外の精神疾患があることが少なくありません。このように二つ以上の精神疾患が共に存在していることを併存障害(へいぞんしょうがい)と言います。
海外の統計によるとADHDの患者さんの約70%には併存障害があり、むしろADHD単独という患者さんは少数派であるということがわかります。
ですから、自分はADHDなのか?それとも学習障害なのか?不安障害なのか?あるいはうつ病なのか?といった二者択一で考える必要はありません。
ADHDプラス学習障害、ADHD プラス不安障害、ADHD プラスうつ病などという場合が多く存在するのです。むしろ不安障害やうつ病などの症状が目立つとADHDに気がつきにくいこともあります。
MTAスタディという米国の統計によると、18歳までのADHDの患者さんでは、反抗挑戦性障害と不安障害/うつ病などの気分障害が約40%ずつあると報告されています。
18歳以上の大人のADHDでは、この傾向は一層強まります。大人のADHDではうつ病、双極性障害、不安障害、強迫性障害などの精神疾患を併存する割合がより多くなるのです。
こうした統計からわかることは、長年にわたりADHDを持っていると他の精神疾患を引き起こしやすいという事実です。
ADHD があることによるストレスがうつ病などを引き起こしていると考えられます。これを二次障害と言います。ですから、二次障害が発生しないうちに、早めに受診し、ADHDの治療を開始することが大切です。
院長 高橋道宏