心の病気と睡眠

2018年2月19日 月曜日

心の病気になると眠れなくなることが多くなります。心に悩みやプレッシャーがあれば、眠れなくなるのは当然のことでしょう。

例えばうつ病や双極性障害(そう状態とうつ状態がある)などの気分障害では、約80%以上の方に睡眠障害が認められています。この他に不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害)でも、不眠は多くの方に見受けられます。

うつ病では寝つきが悪く、途中で何回も目覚めてしまうことが多くなります。何度も目覚めるため眠りは浅く、朝はもう少し寝ていたいのに早く目覚めてしまいます。うつ病では眠りたくても眠れないのです。

これに対して躁状態では、眠りたいという気持ちがあまり起きません。眠るより何か活動していたいと思うくらいに元気なのです。これを睡眠欲求の減少と言います。

このように病気の種類や程度により睡眠障害の現われ方は異なります。心の病気が発病した時に最初にみられることが多いのは睡眠障害です。また、心の病気が治る時に最初に良くなることが多いのも睡眠障害です。

ですから、心の病気を早期に発見し適切に治療するために、睡眠に注意を払う必要があります。睡眠は心の病気の程度を知るためにわかりやすい指標なのです。

OECD(経済協力開発機構)の調査(2014年)によると日本人の平均睡眠時間は7.4時間となっており、世界29カ国の中で韓国に次いで2番目に短いことが分かりました。

適切な睡眠時間は一人一人異なります。5時間睡眠で良いという人がいる一方、8時間は寝ないと身体がもたないという人もいます。一概に何時間眠れば良いと簡単には言えませんが、心の病気を予防するためにも十分な睡眠を取るようにしたいものです。

院長 高橋道宏

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