職場復帰に向けて、リワーク(復職プログラム)という選択肢があります
2026年4月20日(月)
うつ病や適応障害で休職されている方が、回復期に入ると、診察室では「そろそろ復職を」という話題が出るようになります。
気分が落ち着き、意欲が戻ってくると、早く元の生活に戻らなければと焦る気持ちも出てくるでしょう。
しかし、ここで一つ、知っておいていただきたいことがあります。
それは、「心の回復と、体の回復には時間差がある」ということです。
心の回復、身体の回復の遅れ
多くの場合、適切な休養と服薬によって、気分の落ち込みや不安といった精神的な問題は、比較的早期に改善していきます。
ところが、体のだるさや疲れやすさ、そして不規則になった生活リズムは、心ほどすぐには回復しません。
「家で過ごすには問題ないけれど、決まった時間に毎日出勤する体力があるか」と問われると、不安を感じる方も多いはずです。
休養中、思った以上に体力は落ちています。
この「心と体の回復のズレ」を無視して復職を急いでしまうと、再休職のリスクが高まってしまいます。
「自己裁量」の難しさと、リワークの意義
自宅で生活リズムを立て直そうとするとき、難しさを感じることがあります。
自己裁量で生活していると、どうしてもその日の気分や、わずかな体調の波に引きずられてしまいます。
「今日は少ししんどいから、明日にしよう」
そうした柔軟さは休養には役立ちますが、復職の準備としては、不十分かもしれません。
ここで役立つのが、リワーク(復職プログラム)です。
当院でも、このプログラムを実施しています。
リワークは、決められた時間に決められた場所へ行くという、ゆるやかな枠組みです。
すべてを自己裁量に任せるのではなく、あらかじめ決まったプログラムに参加することで、その日の気分に振り回されることなく、生活リズムを安定させていくことができます。
「試運転」としてのリワーク
リワークに参加する大きなメリットは、実際の出勤に近い形を「体験」できる点にあります。
- 決められた時間に安定して通えるか
- 数時間、座って課題を続けられるか
- 人の中で過ごして、過度に疲弊しないか
これらを復職前に確認できることは、復職後の安定した出勤につながります。
「まだ体力が戻っていない」と気づくことも、リワークの大切な役割です。
そこで課題が見つかれば、復職の時期や働き方を見直すことができます。
おわりに
復職はゴールではなく、復職後の安定した出勤が真のゴールです。
そのために、リワークという選択肢を検討することも有用です。
一歩ずつ、着実に体力を取り戻していく。
この歩みが、長く安定して働き続けるための近道となります。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏


