双極性障害(双極症)——「調子が良い時」こそ注意が必要

双極性障害(双極症)——「調子が良い時」こそ注意が必要

2026年5月11日(月)

双極性障害(双極症)の方を診察していると、「調子が良かった時ほど、そのあと大きく崩れてしまう」というお話を伺うことがあります。

うつ状態の時期は、何もできず、気力も出ない。一方で、調子が良くなると、急に活動的になり、「今のうちに遅れを取り戻さなければ」と、予定を詰め込みすぎてしまいます。

しかし、双極性障害では、この「頑張りすぎ」が、その後の大きな落ち込みにつながってしまうのです。

双極性障害とは

双極性障害は、感情や活動を司る脳のエネルギー調整が、大きく揺れ動きやすい状態を指します。

気分が落ち込み、何もできなくなる「うつ状態」だけでなく、活動性が高まり、元気になりすぎる「軽躁状態」がみられることがあります。

軽躁状態では、

  • 睡眠時間が短くても平気になる
  • 次々と予定を入れる
  • 買い物が増える
  • 普段より話し続けてしまう
  • 自信が過剰になる

といった変化がみられます。

しかし、この時期は本人にとって「調子が良い」と感じられることが多いため、病気として認識されにくいのです。

気分の波は「振り子」のように動く

気分が振り子のように大きく躁状態へ振れると、脳はオーバーヒートを防ごうとして、今度はうつ状態へと大きく振り戻されることがあります。これが、活動的だった時期のあとにやってくる、動けないほどのうつ状態につながることがあります。

活動を増やしすぎることで、その後のうつ状態がより深くなってしまうのです。このため、調子が良い時こそ、あえて「やりすぎない」ことが大切です。

気分の波の「振幅」を小さくする工夫

治療の目標は、波を完全になくすことではなく、気分の振幅を生活に支障のない範囲まで小さくしていくことにあります。

気分安定薬は、感情を抑えるものではありません。

振り子の揺れを安全な範囲に収めるための「重り」のような役割を果たします。

睡眠時間を一定に保つことも大切です。

睡眠リズムの乱れは、振り子の揺れを大きくする最大の要因のひとつです。

うつ状態のときは、無理に活動量を増やそうとせず、十分な休養をとることが大切です。

おわりに

気分の波を、恐れすぎないようにしましょう。

一歩ずつ、穏やかなリズムを整えていければ大丈夫です。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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