2018年10月15日 月曜日
うつ病では気分の落ち込み、意欲の低下などこころの症状が認められます。また、不眠、食欲の低下など身体の症状も認められます。こうした症状が毎日続くため、日常生活が停滞し、職場の長期休業や不登校の原因にもなります。
このようにうつ病では、気分の落ち込みを中心としたこころの症状が認められますが、もう一つ無視できない症状が認められます。それは不安です。不安と言うとパニック障害のような不安障害がよく知られていますが、うつ病でも不安は認められます。
うつ病の不安は、うつ病に伴って発生します。ですから、うつ病が回復すると不安もなくなっていくという特徴があります。また、うつ病の不安は焦燥感を伴うことが多いという特徴もあります。焦燥感とは文字通り焦りです。うつ病では不安で焦っている状態が良くみられるのです。
うつ病の不安は、うつ病の回復を阻害します。不安があると落ち着いて療養できません。不安になると、「一生治らないのではないか?」などと悲観的に考え、益々うつが悪化してしまいます。また、焦りから、まだ治っていないのに出勤しようとしたり、無理な行動をしようしてします。このような行動はうつを悪化させてしまいます。
ですから、うつ病の時に起きる不安をうまくコントロールすることがうつ病の治療を成功させます。そのためには、単に抗うつ薬を服用するだけでなく、不安な気持ちを主治医に良く理解してもらい、安心感を得ることが大切です。
不安を払拭し、今の治療を続けていれば、必ずうつは治るとの確信を得ることが大切です。そのような確信が迷いのない療養生活につながり、うつ病の治療を成功に導くのです。
院長 高橋道宏