抗うつ薬はいつまで飲めば良いのか?

抗うつ薬はいつまで飲めば良いのか?

2018年10月22日 月曜日

うつ病の治療は長期に及ぶことが多く、薬を長い間服用することは稀ではありません。長い間薬を飲むと、「ずっと薬を飲み続けて良いのだろうか?」とか「薬を飲み続けていると体に良くないのではないか?」などという疑問が生じます。

ずっと薬を飲むことへの不安は、「長いこと薬を飲んでいると副作用がでるのではないか?」という不安から生じます。一方、薬をやめるとまた精神不安定になるのではないか?という不安もあります。

副作用についていうと、ほとんどの抗うつ薬の副作用は、薬の飲み始めに多くみられます。このため抗うつ薬は当初の1週間はとても少ない量から治療を始めます。

長期的には新たな薬の副作用は減っていきます。お薬を飲み始めてから半年以上も経って新たな副作用が出てくることはまずありません。抗うつ薬を長期的に服用することの健康面に及ぼす心配はないといって良いでしょう。

日本うつ病学会の治療ガイドラインには、「早期に抗うつ薬を中止・減量することは再燃の危険性を高める。」と書かれています。つまり、薬をやめるのが早過ぎると、またうつ病が再発する可能性が高いというのです。

うつ病で完全に症状がなくなってからも、一定の期間はお薬を続ける必要があります。これは再発を予防するためです。このガイドラインでは、初発の方では4-9ヶ月、再発の方では2-3年の服薬が必要と大まかな目安を示しています。

うつ病は再発の多い病気です。多くの研究は、初めてうつ病になった方では、約50%に再発があると報告しています。ですから、抗うつ薬を飲むことの意味は、現在の症状を改善するということだけではなく、将来の再発を予防するという意味合いがあるのです。

実際にどの位薬を続けるべきかは、一人一人の置かれている状況により異なります。職場や家庭のストレス、ご本人の性格などを考慮する必要があります。主治医と相談しながら、どの位薬を続けるべきか理解を深めましょう。薬をやめる時は少しづつ減らしていく必要があります。自分の判断だけで急に薬をやめたりしないようにしましょう。

院長 高橋 道宏

アーカイブ

PAGE TOP