抗うつ薬をどのように使ったら良いのでしょうか?

2018年10月29日 月曜日

うつ病などの心の病気になるとお薬を使って治療することが多くなりますが、治療が長引くと、お薬が効かないと感じることがあります。そのような時、もっとよく効く強力は薬はないものかと疑問に思うこともあると思います。

うつ病の治療に使う抗うつ薬を例に上げると、15種類以上あり、かなり多くの薬が使われています。抗うつ薬は、50年程前から使われるようになり、効果や副作用については多くのデータが蓄積され、より適切にお薬が使われるようになってきています。

その中で、より強力な抗うつ薬は存在するのでしようか?海外の研究では抗うつ薬のランキングのようなものを発表しているものもありますが、研究方法には限界があり、研究するたびにランキングが入れ替わる事態となっています。実は、抗うつ薬の効果を表わす指標(エフェクトサイズ)は薬剤間でそれほど大きな差がないのです。

その意味で、抗うつ薬の効果はどんぐりの背比べといった感じです。どんな抗うつ薬でも、効果があるのは服用した方の3分の2程度です。残りの3分の1は全く効かないか、部分的に効いている方です。効かない場合でも別の抗うつ薬に変えると効果がみられる方が半分位はおられます。

ですから、より強力な抗うつ薬を探すというよりも、より自分に合ったお薬を見つけることが大切なのです。真に自分に合ったお薬は適量を飲めばかなり効果が期待できます。これは抗うつ薬に限らず、心療内科、精神科の治療薬に広く当てはまります。

心療内科、精神科の治療は、個人差が大きな分野です。他の分野と比べるとお一人お一人の生活環境や体質の差を考慮する必要があります。前回のブログで取り上げた抗うつ薬の治療ガイドラインを踏まえつつ、お一人お一人の体質に合わせたお薬を選択することが大切です。

主治医と相談しながら、最も自分に合ったお薬をみつけ、病気を克服しましょう。

院長 高橋道宏

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