不安障害の治療で大切なこと

2019年3月25日 月曜日

不安障害への対処法としては、「不安をやり過ごし、通り過ぎるのを待つ」「種々の方法で、不安から注意をそらす(不安への過度の注目を減らす)」「深呼吸、筋弛緩 などのリラクゼーション法を修得し応用する」(「パニック障害の治療ガイドライン」より)などがあります。

このような対処法を治療場面で体系的に行うのが、森田療法、認知行動療法などの精神的な治療です。

しかしながら、このような治療を行う前提として、お薬による治療でまず不安が起きにくい状態にする必要があります。

なぜなら、不安は本能的なものだからです。ひとたび不安になってしまうと、不安にとらわれ、精神的な治療を冷静に行うことができなくなってしまいます。特に、動悸、過呼吸などの身体症状が発生すると、一層その傾向が強まります。

不安障害のお薬による治療は、セロトニンを増やすお薬(SSRI)を使うことが基本になります。SSRIは元々うつ病の治療薬として使用されていましたが、後に不安障害にも効果があることがわかり、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害などの不安障害で第一選択薬として使用されるようになりました。

従来の抗不安薬との違いは、効き方をがより自然なことです。

抗不安薬はよく効きますが、どちらかと言うと無理に不安を抑えているという感じです。そのため、お薬を止めるとすぐにまた不安になってしまいます。また、お薬を飲むとすぐに不安が解消するため、お薬に頼りすぎてしまうという問題(依存)も生じます。

これと比べるとSSRIはより自然な効き目です。気がついてみたらあまり不安にならなくなったという感じです。不安障害の治療で大切なことは、SSRIをお薬の治療の基本にすえ、その上で心の治療を積み重ねていくことです。

このようなアプローチが不安からの解放をもたらすのです。

院長 高橋道宏

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