パニック障害の治し方

2019年5月20日月曜日

パニック障害は、突然の動悸、息苦しさ、発汗などと共にパニック発作(突然の強い不安と恐怖)に襲われる心の病気です。パニック発作は短時間で治まり後遺症も残しませんが、発作が起きた時は恐怖感で死んでしまうのではないかと思う程つらい状態におかれます。

実際にパニック発作で死んでしまうことはありませんが、また発作が起きるのではないかと考え(予期不安)、日常の多くの場面で守りに入り、おどおどとした生活になってしまいます。

パニック障害は、不安・恐怖に関係する脳がうまく働かない状態で、本人の性格や気のせいではありません。パニック障害では、不安・恐怖に関係する扁桃体と言う場所で神経伝達物質であるセロトニンが何らかの原因で少なくなっています。 このためセロトニンを増やすSSRIといわれるお薬がよく効きます。

パニック障害の治療では、まず薬物療法によりパニック発作を完全に消失させることが大切です。一度パニック発作が起きてしまうと、またパニック発作になるのではないかという予期不安がなかなか消えなくなってしまうからです。

薬物療法によりパニック発作を完全になくしてしまうのと同時に、不安への対処法を理解し、実践することも大切です。不安になるといつも同じことばかり考え、不安にとらわれるようになります。前述した予期不安はパニック発作の再発に対するとらわれなのです。

ですから、不安への対処法としては、「日常生活でやらなければならないことに集中することで、不安から目をそらす。」ようにすると良いのです。

症状が安定したら、薬は減量に向かいます。「SSRIは十分な効果が見られたら、その量を 6 ヶ月~1 年間維持し、症状の再発がなければ、さらに 6 ヶ月~1 年間かけて少しづつ減らし、中止する。症状の再発が見られたら、 それ以前の量まで一旦戻し、減量をやり直す。」(パニック障害の治療ガイドライン)が一般的な薬の減量のやり方です。

このような薬の減量が成功するためには、不安への対処法を身につけ、不安に振り回されない生活を確立することが大切です。このような生活態度をしっかりと身につけないで、お薬を減らしても症状が再発してしまうからです。

このようにパニック障害は治療法が確立した分野です。症状を恐れず治療すれば必ず治る病気です。症状があるときは1日も早く医療機関に相談し治療をスタートさせましょう。

院長  高橋道宏

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