抗うつ薬が効かないと感じる時に、どうしたら良いのか?

2019年5月13日 月曜日

  • 強力な抗うつ薬というよりも、自分に合った薬を探すことが大切

うつ病の治療では抗うつ薬が使われますが、薬が良く効くこともあれば、あまり効かないこともあります。うつで悩んでおられる方は、薬が効かないと、もっと強い薬はないものかと考えます。薬の研究に関する多くのデータを見る限り、現時点で強力な抗うつ薬というものはありません。

しかし、どの薬がその人に最も合うのかは人により異なります。効果がない時、漫然とその薬を続けるのではなく、別の薬に変更する、もっと自分にマッチした薬を探すのは合理的な方法です。

  • 薬が効かない時には、別の薬に切り替えることを考える

ある方にとってはAという薬が最も良く効き、また別の方にとっては Bという薬が最も良く効くのです。ですから、より強力な薬というよりも、自分にとってベストな薬に巡り合うと治療がうまくいきます。

抗うつ薬の研究データは、ある薬が効かない場合、別の薬に切り替えると、これまで薬が効かなかった方の約半数で症状が改善することを示しています。これは日常診療でも良く経験することです。

  • 自分にとってベストな薬を見つけることと同時に、規則正しい日常生活を送る自己努力が大切

自分にとってベストな薬を見つけることと同時に、もう一つ大切なことがあります。それは規則正しい日常生活です。規則正しい生活が確立していないと薬はなかなか効きません。どのような良い薬を使っても、規則正しい生活という土台がなければ薬の効果は十分に現れません。

うつ病の治療中は、服薬と休養により回復を待つという受動的な態度で基本的には良いのですが、規則正しい日常生活を送るという点だけは自己努力が必要です。

  • 薬は自分に合っているのか、規則正しい日常生活を送っているのか?この二つの点をチェックする

規則正しい日常生活は、薬が効くための土台作りといえます。しっかりとした土台を作り、治療を軌道に乗せていくのです。規則正しい日常生活という土台をしっかりと作り、自分にとってベストな薬で治療を進めていく。このような形で治療が進めば、うつ病の治療は大抵うまくいきます。うつ病は不治の病ではないのです。

抗うつ薬が効かないと感じる時には、薬は自分に合っているのか、規則正しい日常生活を送っているのか?この二つの点を主治医といっしょにチェックしてみましょう。

院長 高橋道宏

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