2019年7月1日(月)
- 認知症とは?
脳の病気や障害のため、記憶力が悪くなる、場所や時間の見当がつかなくなる、物事を判断できなくなる、などで日常生活に支障が起こるのが認知症です。
なかでも「アルツハイマー型認知症」はもっとも多く、脳の老化と関連して年齢とともに増えます。脳内で「アミロイドβ」と呼ばれるたんぱく質の沈着が起こり、その結果大脳(側頭葉、頭頂葉、後頭葉)の萎縮が次第に進んでいきます。
- 認知症の症状は?
初期には物忘れがみられますが、被害妄想がある、話が通じなくなった、外出すると迷子になる、お金の勘定ができなくなるなどの症状が出てきたときには、今までできていた日常生活が一人でできなくなります。
時間や場所を正しく認識できなくなったり、人によっては幻覚や妄想が現れたりしますが、本人は病気だという認識がありません。うつ状態、いらいらなどの精神症状を伴うこともあります。
- 認知症の治療は?
認知症の治療薬は、記憶に関係するアセチルコリンを脳内で増加させることで、認知症の症状を改善します。脳内でアミロイドβの沈着を取り除くことができないため、重症の方にはあまり効果が見込めませんが、軽度から中等度の方には進行を遅らせる効果があります。
また、単純計算や音読など「読み・書き・計算」で、脳全体が活発に働くようになることが知られています(脳トレ参考は下記に示しました)。1日に短時間でも毎日続けることで、脳機能の改善に大きな効果があることがブレインイメージングという科学的な方法で確認されています。
- 早期である程、治療効果が見込める
アルツハイマー型認知症は誰にでも起こる可能性があります。最近は、お薬で症状をある程度改善したり、進行を遅らせることができるようになりました。また、お薬以外にも、脳トレなどの方法に効果があることがわかってきています。最も効果的な方法は、定期的に脳のMRI検査を行いながら、お薬と脳トレなどの方法を組み合わせることだと思います。
このような方法は、早期であればある程、効果があります。海外では、軽度認知障害(MCI)に対して積極的に治療が行われています。物忘れが多くなり、認知症が疑われたら、早めにご相談ください。
脳トレ参考文献
- 川島隆太教授の脳を鍛える大人の漢字ドリル―漢字たどり・漢字書き取り60日
- 脳を鍛える大人の音読ドリル―名作音読・漢字書き取り60日
- 脳を鍛える大人の音読ドリル―名作音読・漢字書き取り60日
院長 高橋 道宏