2020年10月12日(月)
抗うつ薬は、うつ病の治療だけでなく、不安障害、月経前症候群(PMS)の治療にも使われています。このように抗うつ薬は応用性の高いお薬ですが、その特徴を理解し、正しい使い方をしないと期待通りの効果が得られません。
抗うつ薬は毎日服用することで、ゆっくり効果が現れる薬です。1錠飲んだら効果が出る薬ではないのです。抗不安薬は、不安になった時に服用すると、すぐに効果が現れます。その意味では抗不安薬とは効果の出方が大きく異なります。
抗うつ薬は毎日服用し、一定の血中濃度が破もたれることで、神経系にゆっくりと変化が現れます。抗うつ薬はマイルドな効き方をするお薬ということができるでしょう。
ですから、ちょっと服用しただけで効果がないと決めつけないことが大切です。
毎日服用し、2週間位してから効果が現れ、2ヶ月位で、短期的には最大の効果となります。
抗うつ薬の効き目が悪い理由の一つは、薬の飲み忘れです。薬を飲み忘れると、血中濃度が下がるため、効果が落ちます。特に中高生の方には飲み忘れが多くみられます。保護者の手助けが必要です。
抗うつ薬は、症状が完全になくなるまで飲み続けます。症状が完全になくなったかどうかは、病前の症状と比べて判断します。
症状が完全になくなったら、その後6ヶ月程度再発予防のための服薬を行います。初めてうつ病になった方でしたら、その後減量から中止となります。
一方、うつ病を繰り返す方は、まだしばらく服薬を継続します。
薬を飲み忘れた場合、どう対処すべきかは処方内容により異なります。普段から主治医と話し合っておきましょう。
薬によっては、例えば夕食後に服用を忘れても、寝る前までに服薬して良い場合があります。
抗うつ薬は続けて服用し、初めて効果が出る薬です。飲み忘れに注意し、服薬率が90%以下にならないようにしましょう。
抗うつ薬はいろいろな心の病気の治療に使われる応用性の高いお薬です。正しい理解と使い方で、抗うつ薬とうまく付き合い、心身の体調を整えていきましょう。
芦屋 心療内科 高橋心療クリニック
院長 高橋道宏