注意欠如多動性障害(ADHD)でみられる優先順位をつけて行動できないクセをどう克服すべきか?

2021年3月1日(月)

注意欠如多動性障害(ADHD)の方は、不注意、集中力のなさに加え、優先順位をつけて行動することが苦手です。優先順位をつけて行動することは、脳の前頭前野(ちょうど額の後ろの部分)の働きによるもので、実行機能と呼ばれています。ADHDではこの前頭前野の機能が障害されていることがわかっています。

優先度の高い課題は、必ずしも自分の好きなものとは限りません。重要なことが多く、労力を要するものです。しかし自分が好きでないからという理由で、優先度の高い課題を先送りすると、後々大切な課題を一気にしなければならなくなります。その結果、やり方が雑になりミスが起きやすくなる、大事な仕事が期限に間に合わないなど、大きな問題を抱えることになります。

物事を処理する時は、自分がしたいからするのではなく、まず優先度の高い課題からやっていくようにしましょう。

優先度の高いことから片付けて行くためには、自分がやらなければならない課題を書き出し、優先順位をつけておくことをお勧めします。ADHDの方は、頭の中で考えるよりも、目に見えるように可視化された視覚情報の方が頭に入りやすいからです。

この他にもさまざまな工夫がありますが、試行錯誤し工夫を重ね、自分に合った方法で優先順位をつけて行動することを繰り返すなかで、大切な仕事を先送りしてしまうクセを直すことができます。

お薬に頼るだけでなく、さまざまな工夫を重ねながら、治療を進めていく中で希望の光が見えてくるのです。

 

芦屋 心療内科 高橋心療クリニック

院長 高橋道宏

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