双極性障害のそう状態とうつ病で気分の良い時とはどのように違うのか?

2021年2月22日(月)

双極性障害(そううつ病)は気分が高まったり落ち込んだり、そう状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。うつ病の方でも気分の涙があり、気分の高まりと落ち込み(うつ状態)がみられます。気分が高まってくると双極性障害ではないかと心配される方が少なからずおられます。

双極性障害とうつ病でうつ状態は違いありませんが、双極性障害のそう状態とうつ病で気分が上がった状態とでは大きな違いがあります。

双極性障害のそう状態は下記のようなものです。

  1. エネルギーにあふれ、気分が高まって元気になった気がする
  2. あまり眠らなくても元気
  3. 急に偉くなったような気になる
  4. なんでもできる気になる
  5. おしゃべりになる
  6. アイデアが次々に浮かんでくる
  7. 怒りっぽくなる
  8. すぐに気が散る
  9. じっとしていられない
  10. 浪費
  11. 性的逸脱

双極性障害にみられるそう状態では、気分が高揚した結果、精神的な警戒心が緩みます。警戒心が緩むため、借金をしてでも高額な買い物をしてしまい、異性に不必要に接近してしまいます。

こうした行動により仕事を失う、パートナーとの関係が破綻する、多額の借金してしまう、などその後生活に大きな影響が残ります。

一方、うつ病の気分の良い時にはここまでの問題は起きません。気分の良さにまかせて行動し過ぎた結果、また調子が悪くなることはあっても、その後の生活に大きな禍根を残すことはありません。

双極性障害のそう状態は、うつ病で少し気分が良くなった時とは大きく異なります。うつ病の方から双極性障害ではないかと相談された事例のほとんどは双極性障害に該当しない気分の変動です。ですから気分が少し良くなっているからといって、双極性障害ではないかと心配するのはやめましょう。

一生の間に双極性障害になる方はおよそ1%程度です。一方うつ病は18%程度です。うつ病と比べると双極性障害になる可能性はかなり低いのです。

双極性障害を疑った時は、ネット等の情報で自己判断するのではなく、主治医に相談するようにしましょう。一人で悩んでいると悪い方向に考えて不安になります。不安はうつ病悪化の危険因子となります。主治医に診断と治療の方向性を確認しながら、安心して治療を続けましょう。

 

芦屋 心療内科 高橋心療クリニック

院長 高橋道宏

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