抗うつ薬の用量調整はなぜ行われるのか?

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抗うつ薬は、うつ病だけでなく、適応障害、不安障害、過食症、月経前症候群(PMS)などの治療にも使用されています。抗うつ薬はうつ病だけでなく、不安障害など多くの精神疾患に使用される応用範囲の広いお薬です。

抗うつ薬の治療では、用量調整が行われることがあります。処方される抗うつ薬が増えたり減ったりするのです。抗うつ薬が減った時はうれしくなり、増えた時は心配になる方もいます。

しかしながら、用量調整をすることは治療の基本であり、必ずしも少ない量のお薬を飲んでいたら良いと言うものでもありません。もし治療がうまくいってないのに同じ薬を漫然と同じ量を服用し続けているなら、その治療は膠着していると言って差し支えありません。

抗うつ薬はちょっと量を増やすと非常に良く効くことがあります。これは量の調整がいかに治療上有益かと言うことを示しています。わずかな処方量の調整が大きな効果の違いをもたらすのです。

そのような判断のポイントは、服薬開始後約1ヵ月位だと考えられます。多くの抗うつ薬に関する研究結果を見ると、効果が出る場合は約1ヵ月後には何らかの反応が見られることが多く、1ヵ月間飲んでも全く効果のない場合はその薬が体に合っていないと理解した方が良さそうです。

抗うつ薬は応用範囲が広く、治療上とても役に立ちますが、適切な時期に適切な容量調整を行い、効果を最大限に引き出していくことが大切だと思います。

院長 高橋道宏

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