うつと不安で異なる行動原則ーその1

2021年8月9日(月)

心の病気は薬だけ飲んでいても良くなりません。心を病んだ時に、どんな生活をするのか?どのように行動するのか?行動原則を理解することが大切です。

私たちは行動することで初めて自己を変革することができるからです。

当院はうつ病、不安障害の方が多く受診されますが、うつ病と不安障害では行動原則が大きく異なります。

うつ病と不安障害は、病気の背景、症状が似ているところがありますが、行動の原則は大きく異なります。

うつの時は行動しない。不安になったら行動する。うつと不安は行動原則が真逆です。

うつの時は心身のエネルギーが低下しています。無理をしないが行動の原則です。

休養により、自己治癒力を引き出し、エネルギーを回復するようにするのです。

不安の時は、自分を不安にさせるものにとらわれ、いつも同じことばかり考えています。思考がドンドン自動的に進み、止められません。考えれば考えるほど、不安になるのです。

このような時は積極的に行動するようにしましょう。行動することによって、考え過ぎを止めることができるのです。

うつの時は元気がないため、自宅など落ち着く場所で休養します。

一方、不安が強い時は、閉鎖空間が苦手になります。閉鎖空間にいると同じことばかり考えてしまいます。適度に外出する必要があります。

このようにうつと不安では、行動の原則が大きく異なるのです。

では、不安とうつの両方がある時はどうしたら良いのでしょうか?うつと不安は兄弟のようなものです。両方がいっしょに存在することが良くあります。

このような時は、うつと不安のどちらの治療を優先するのかという治療戦略により行動原則が異なります。

実際の治療では、この二つの行動原則のどちらを優先するのか場面ごとに判断しながら、行動原則を切り替えていくことが多くあります。

このような判断はご自身で行うことは難しく、診察時に主治医のアドバイスを受けるのようにしてください。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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