2021年10月11日(月)
神経症は、最近では不安障害とも呼ばれています。一般に、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害などが知られています。
神経症の本質は、些細なことが気になる神経質性格と不安にとらわれること。そのとらわれから逃れられなくなることにあります。とらわれが強くなると、自分を不安にさせることしか考えなくなります。
神経症の治療では、これまで抗不安薬が使われてきました。抗不安薬による治療は、一時的に不安が減るものの、数時間して薬の効果が切れると、また不安になります。
抗不安薬は一時しのぎの治療に過ぎません。抗不安薬を飲み続けても、薬に依存するばかりで、神経症が根治することはありません。
では、どのようにしたら神経症は根治するのでしょうか?
神経症の治療では、不安にとらわれた時にどのように行動すべきかを理解し、行動することが大切です。不安の原因を分析するだけでは、治らないのです。
とらわれるが生じると、自分を不安にさせることばかり考え、他のことが考えられなくなります。考えれば考える程不安になり、その時々に必要な行動ができなくなります。
動物は天敵に狙われ不安になるとその場に立ちすくみ行動できなくなります。
不安な時に行動できなくなるのは、このような動物的本能で仕方ありませんが、行動しないとやるべきことがドンドンたまっていき不安になるばかりです。
不安にとらわれた時、不安で行動するのがおっくうになっていても、あえて行動するようにするようにしましょう。
このように行動すると、徐々に自分を不安にさせることばかり考えなくなります。とらわれからの解放が始まるのです。
神経症の治療は、不安で立ちすくみ行動できない自分と向き合うことから始まります。
不安でも、あえて必要な行動を始め、次第にとらわれから解放される経験を積み上げていくのです。
このような経験を積み上げると、次第に自分を不安にさせていたものは何の実態もないオバケのようなものであることに気がつきます。
抗不安薬はこのような行動をしやすくする手助けであり、薬を飲むことが治療ではないのです。
薬は必要な行動をするための手助けと位置づけ、必要な行動を積み上げましよう。こうした行動が神経質性格を乗り越え、神経症を根治することにつながるのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏