2022年4月4日(月)
うつ病は回復可能な病気と考えられており、不治の病ではありません。しかし、現実には治りにくく、再発を繰り返し、治療が長期化している方もおられます。
このように治りにくいうつ病は難治性うつ病(治療抵抗性うつ病)と呼ばれることがあります。
難治性うつ病は、2種類以上の抗うつ薬を適切な量、適切な期間使用したにもかかわらず症状が改善しないものとされています。これは主に薬物治療の観点から考えられており、社会心理的側面は考慮されていません。
1種類の抗うつ薬で十分な効果がない方は3分の1程度おられますが、治療効果の不十分な方の半数は薬を変えると良くなります。
このように考えると2種類以上の抗うつ薬を使用しても改善しない、難治性うつ病に該当する方は6分の1(約17%}程度おられることになります。
治療困難に陥る原因は薬物治療の要素だけではありません。日常診療では、病気を治りにくくしている心理的要因が見受けられます。その一つが焦燥感です。
焦燥感はイライラしたり、焦る気持ちで、原因は不安にあります。病気の回復が思った程良くならないなどと不安になり、焦ってばかりいると回復が遅れます。焦ると回復が遅れるのはなぜでしょうか?
それは焦ると大切な精神的エネルギーが消費されてしまうからです。うつ病からの回復には大きな精神的エネルギーが必要です。このエネルギーが回復力です。
不安、焦燥感は多大なエネルギーを消費し、回復力が弱まり、うつからの回復が遅れるのです。無駄な心配をしせず、健康的な生活を心がけ、心のエネルギーを充電することが早く良くなるための秘訣なのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏