2022年8月29日(月)
不安障害とうつ病が同時に存在(併存)することがあります。この2つが併存した時は、不安障害、うつ病とも治りにくくなります。
このような時、ご自身の精神的な状態をどのように理解したら良いのでしょうか?またどのような療養生活を送ったら良いのでしょうか?
不安障害とうつ病が合併するメカニズムは次のようなものです。
もともと不安障害があります。不安障害は神経質性格が基盤になっています。このような神経質性格にストレス、環境変化が加わり不安障害が発病します。
不安障害を持ちながら生活していると、些細なことで不安になり、ストレスを溜め込みやすくなります。この結果うつ病が発症するのです。
元々不安障害があり、その後うつ病が発病したと理解するのが妥当です。
したがって治療は、まずうつ病を治すことから始まります。不安障害の後でうつ病が発病しているのですから、まずうつ病を治療します。
うつ病は休養とお薬によって症状は徐々に改善していきます。ある程度症状が改善したら、次は不安障害の治療です。
不安障害の療養方針は、生活上必要なことは不安があってもすることです。不安は現実離れした不安です。多くの人が気にならないことで不安になり、そのことが自分を苦しめています。
ですから、このような現実離れした不合理な不安に対して、不安であっても現実にやらなければならないことをやっていく。仕事、家庭生活、学業などをこれまで通りやっていくのです。
不安があっても逃げてはいけません。このように行動する中で不安は徐々に解消していきます。
このような行動は多くのエネルギーを要するため、うつ病をしっかりと治しておくことが必要です。
うつ病によるエネルギー低下がある状態で不安に打ち勝つのは難しいからです。
不安障害とうつ病が併存するメカニズムは厳密にはこれだけではありませんが、私が診てきた大多数はこのようなケースです。
この2つが併存するメカニズムを理解し、適切な療養生活を送ることで、不安障害とうつ病が併存する状態から解放されていくのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏