2023年1月16日(月)
アルコール依存症は、飲酒量が自己コントロールできなくなった状態です。
自己コントロールできなくなると、肝機能障害を起こしても飲酒を続けます。経済的に苦しくなっても飲酒を続けます。暴言、家庭内暴力から家庭崩壊に至ることもあります。
アルコールの依存性の脳内メカニズムは麻薬と同じです。
依存の程度が軽いから、20歳以上になると合法的に飲酒できますが、アルコールという化学物質のもつ依存性には十分に注意する必要があります。
飲酒した期間が長ければ長い程、飲酒量が多ければ多い程、依存しやすくなります。
アルコール依存症になる方は、若年の頃から大量の飲酒を続けていた方が少なくありません。
アルコール依存症を治すためには、飲酒を止めるのが近道です。
飲酒量を減らす、節酒という方法もありますが、依存がまだ軽症の方が対象です。
ある程度依存が強くなると、脳細胞が依存物質であるアルコールに暴露されている状態では、いつまで経っても依存は治りません。
アルコール依存性の治療で断酒に成功するのは大変なことですが、断酒したからといって安心してはいけません。
アルコールの依存性を甘く見てはいけません。断酒しても、依存の魔の手は簡単に忍び寄ってきます。
アルコールの依存性の程度を理解するために、アルコールを飲みたいと思った時、飲酒しないためにどのくらい我慢しているか、その我慢の度合いを考えてみてください。
断酒はあまり我慢せずにでき、アルコールのことが気にもならないようでしたら、依存はかなり軽くなっていますが、飲みたくて仕方がないが無理して断酒を頑張っているうちは、まだまだ道半ばです。
断酒生活の中では、アルコールとの戦いに勝利する時もありますが、負けてしまう時もあります。
何年頑張っても、一度再飲酒してしまうと、アルコールは依存物質ですから、すぐに依存を形成します。
断酒しているということだけでなく、飲酒を我慢するために必要な我慢の度合いなど、心の中の深いところまで見つめながら治療を進めていくことが大切です。
アルコール依存性の治療は、断酒だけでは安心できないのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏