うつ病が治らないのではないか?と不安になったら

2023年1月9日(月)

うつ病が治りにくい原因の一つに、不安が強い場合があります。うつ病と不安障害はそれぞれ別々の精神疾患ですが、この二つの病気が同時に共存することがあります。

うつは気分が重くなり、何もしたくなくなります。不安は気になることが頭から離れず、先々のことが心配になります。

うつと不安にはこのような違いがあるものの、心理学的にはうつは自らの欲求が叶わない絶望の状態、不安は自らの欲求が叶わないかもしれないのではないかと心配している状態と考えられます。

このようにうつと不安は似たようなところがあり、兄弟のようなものなのです。

うつ病の治療では、休養とお薬による治療が基本ですが、休養は落ち着いて生活することが前提となります。

不安が強いと、不安にばかりエネルギーを取られ、落ち着いて療養生活を送ることができません。その結果、十分な休養がとれず、こころのエネルギーはいつまでも充電されず、治りにくくなってしまうのです。

不安が強い場合、どのような気持ちで療養生活を送れば良いのでしょうか?

不安障害の治療の基本は、「不安をありのまま受け入れる」ことです。うつ病はいつになったら治るのか?不安になります。無理をして体を動かそうとしても動きません。

うつ病はすぐに治る急性期の病気ではありません。自分でジタバタして治せる病気でもありません。休養とお薬により、急性期は3ヵ月程度、維持期は6ヵ月程度の治療が必要です。

うつ病で不安になるのは無理のないことですが、このようなすぐには治らないうつ病治療の流れを理解し、その中で今自分は治療経過の中でどの位置にいるのかを主治医に確認しておくことが不安解消に役立ちます。

うつ病は目に見えない病気です。目に見えないだけに、治療に時間がかかると不安はおおきくなります。自分が今どこにいるのか分からなくなると不安になります。

うつ病の治療の流れを理解し、治療経過の時間軸の中での自らの位置を確認し、不安を最少にして、治療を進めるようましょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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