2024年2月26日(月)
アルコール依存症は、飲酒をコントロールできなくなり、身体的、精神的な依存が生じる状態です。毎日の飲酒が当たり前になり、体調が悪くなっても、仕事に悪影響が出ても飲み続けます。
アルコールは飲めば、飲む程依存が深まる依存性物質です。習慣的に飲酒する方には、肝機能障害の予防のため、休肝日の設定が推奨されています。これは単に肝機能だけでなく、アルコールのもつ依存性からの回復にも重要です。
毎日飲酒すると、身体はアルコールに順応しようとし、飲酒してもあまり酔わなくなります。これが「耐性」の形成です。耐性がつくと、酔うことによる快楽の追求のため、もっと多く飲酒したくなります。こうして飲酒量が増えていきます。
休肝日を設定することにより、一時的にアルコールから離れ、耐性の形成を予防することができます。
また、アルコールは身体だけでなく、精神にも大きな影響を与えます。飲酒することで、こころが癒されるのは悪いことではありませんが、休肝日を設定することで、アルコールへの過度な精神的依存を絶つことができます。
なんとなく毎日飲んでしまう、習慣的な飲酒からも脱却することができるのです。
休肝日を設定することで、アルコールを意識的にコントロールすることになります。我慢しながらも、飲酒しない日を達成することで、自分の飲酒欲求をコントロールすることができるようになります。
休肝日は週1日以上設定しましょう。週1日の休肝日を達成できないなら、アルコール依存症の入口に立っていると言っても過言ではありません。
休肝日を達成することは、簡単なことではありません。必要に応じて飲酒欲求を減らす薬物治療も有効です。
アルコールの依存性は想像よりもはるかに大きなものです。休肝日を設定し、それを達成することで、アルコール依存からの脱却が始まるのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏