うつ病で失われたエネルギー回復の鍵:不安制御と休息のバランス

2024年3月11日

近年、多くの方がストレスや不安に直面し、その結果としてうつ病が増加しています。うつ病では、しばしば不安障害や摂食障害、注意欠如多動性障害など、他の精神疾患を同時に抱えることがあります。これらの併存疾患は相互に影響し、うつ病の治療を複雑にします。特に、うつ病に最も併存しやすいのは不安障害であり、これが同時に存在することがよく見られます。

不安障害は、不安なことが気になり頭から離れなくなる「とらわれ」が原因で発症します。このとらわれによって大きな精神的エネルギーが費やされ、不安なことにとらわれ精神的エネルギーが多く費やされることで、結果としてうつ病が併発します。不安に対処することは多くのエネルギーを必要とし、うつ病治療の基本である休養が不足しがちです。

うつと不安では使う薬は共通のものもありますが、行動の方向性は全く正反対になります。まず、休養してうつを治す。うつが治ってきたら、気になることがあっても積極的に行動し、不安障害を治していくのです。不安障害が同時に存在すると、症状がより複雑になり、薬物療法の効果が低下し、治療期間が延び、再発率も高まります。

うつ病治療の基本は、セロトニン低下に伴うエネルギーレベルの回復のために、十分な休養をとることです。そのためには、不安を適切にコントロールし、不安に振り回されずに休息することが重要です。不安はしばしば自分の思い込みに過ぎません。不安に振り回されないようにすることが大切です。仕事がうつ病の原因であれば、仕事から離れることが必要です。

このようにして、不安をコントロールしながら十分な休養をとることで、うつ病は長引かずに回復する可能性が高まります。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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