2025年2月3日(月)
森田療法は、もともと神経症(不安障害)の治療法として始まりましたが、うつ病の治療にも効果が認められています。
森田療法の特徴は、不安や心配を否定せず、「あるがまま」に受け入れながら日常生活を続けることにあります。
不安や心配があっても、無理に排除しようとせず、自然な感情として受け入れることで、過度な自己分析や思考の悪循環を断ち切り、うつ病からの回復が可能となります。
森田療法では、不安や恐怖を無理に取り除こうとせず、それらと共存しながら行動を続けることを重視します。そうすることで、過剰な思考や自己否定から解放されます。
うつ病の方は自己否定的になりやすく、同じことを繰り返し考える「反芻思考」に陥る傾向がありますが、森田療法ではこれを無理に排除せず、自然に受け入れ、行動を続けることで悪循環を断ち切ります。
「あるがまま」を受け入れる姿勢は、うつ病の回復において重要です。
気分の落ち込みや不安を否定せず、そのまま受け入れることで、過剰な自己批判や「治さなければならない」というプレッシャーから解放されます。
この方法で、うつ病を無理に治すのではなく、うつ病から自然に回復することができます。
うつ病の方は、もともと不安や心配にとらわれやすい傾向があります。
このような性格傾向を森田療法の創始者である森田正馬は「神経質性格」と呼び、内向的、自己内省的、心配性、小心、敏感、完全主義的性格等を特徴としています。
このような性格傾向が、うつ病の回復を妨げる要因となります。
森田療法では「行動」を重視します。不安、心配に過度にとらわれると回復が遅れるため、不安や心配があっても日常生活をこれまで通り続けることが大切です。
行動を積み重ねることで、不安や心配のとらわれから解放され、少しずつ自信を取り戻します。
過剰な思考にとらわれず、いつも通り行動し続けることが、うつ病からの回復を早める鍵となるのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏