8月25日 月曜日
心の病気を治すために、どのような点に注意して生活したら良いでしょうか?このような質問は、診察の場面で多くの患者さんから寄せられます。私は、大事なポイントは次の3点に集約されると考えています。
1 あせらない
2 人と比べない
3 病気のことばかり考えない。
まず、「あせらない」ですが、「あせり」は非常に多くの患者さんでみられます。「病気はいつになったら治るのか?」長引く闘病生活に飽き飽きし、このように感じるのです。しかし、あせっても病気が治るわけではありません。あせりはかえって病気の回復を遅らせます。心の病気が良くなるには時間が必要です。その人、その人に合った時間の流れでで病気は良くなっていきます。
あせっている時は、病気になった自分を受け入れていません。心の病気になったことを引け目に感じ、劣等感に苛まれたり、自分が病気になったのは誰かのせいだと恨んでいたりします。しかし、そのようなマイナスの心のエネルギーは、かえって心の病気を悪化させ、回復を妨げます。
では、どうしたらあせらずに済むのでしょうか?それは、病気を「あるがままに」受け入れることだと思います。心の病気になりたくてなった人はいません。病気になったのは自分のせいではありません。気がついたら心の病気になっていたのです。人生の中で起きることは、良いことも、悪いこともあります。でも、「人生トータルでは皆平等のはず」私はそう信じています。そうでなければ、神様はあまりにも不公平過ぎます。たまたま心の病気になって苦労していても、他の面では幸せなところがあるはずです。心の病気は人生の中で「誰にでも起こりうること」と考えて、受け入れたら良いのです。
ですから、あせってジタバタするのはやめましよう。病気をあるがままに受け入れて、治療を続けて下さい。
日常生活の仕方は、主治医に聞いて下さい。多くの場合、日常生活のポイントは「無理をしない」「規則的な生活をする」「指示通りの服薬をすること」など分かりやすいものです。
しかし、それをそのまま受け入れて実行する患者さんがいる一方、自己流の解釈を加えて行動する患者さんもいます。主治医の言う生活のポイントを愚直に守って下さい。愚直に行動し、病気が良くなるにつれ、あせりはなくなって行きます。当たり前のことを当たり前にすることで、病気は改善に向かいます。心の病気の多くは、「機能性精神疾患」で、障害が永続するというよりも、改善に向かっていくものがほとんどです。
病気はいつか良くなると信じて、日々の治療に専念しましょう。必ず笑顔で過ごせる日がやってきます。
次回のブログでは、「人と比べない」についてです。それでは、皆さん、今週もお元気で。
院長 高橋 道宏