ブックレビュー「スタンフォードのストレスを力に変える教科書 」

2016年5月9日  月曜日 雨

前回のブログ「善玉ストレスと悪玉ストレス」では、「ストレスには善玉ストレスと悪玉ストレスがある」こと、「ストレスを回避せず消化する」ことの意義について書きました。では、どのようにしてストレスを消化したら良いでしょうか?「スタンフォードのストレスを力に変える教科書 」は、ストレスとの付き合い方を考える上でとても参考になります。

著者は米国の著名な心理学者で、「ストレスは悪いものとの先入観が問題。先入観を変えることが重要」と説いています。その根拠として、「30,000人を対象にアメリカで行われた研究では、強いストレスを受けた人の寿命は43%も短くなったが、ストレスを受けてもそれが健康に有害だと信じなかった人は寿命が短くならなかった。」という事実を紹介しています。

また、米国の大学生の中で「試験前に不安がある人の方がかえって良い成績を残す」「不安があっても気にしなくて良い」と事前に教えられた人たちはより良い成績を残した。という研究結果も紹介しています。著者は、ストレスや不安があっても、それを受けいれ、勉強へのエネルギーと変えることができる。そのためには「ストレスや不安は自分を助けてくれるもの」とポジティブに理解すべきと教えています。

本書は、最新の医学・心理学の研究成果と多くの実例から、「ストレスをポジティブに認識すること」がストレスをバネに成長することにつながるとのメッセージを私たちに伝えています。原著のタイトルは、”The upside of stress”。直訳すると「ストレスの良い面」です。ストレスの有用性にも目を向けたい方は、ぜひ一読されることをおすすめします。

参考図書
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書 」ケリー・マクリガル(著) 大和書房2015/10/22発売

院長  高橋道宏

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