2018年12月10日月曜日
心の病気になると、ほとんどの方が不安になります。
全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害など不安障害だけではなく、うつ病や双極性障害などの感情障害、自閉症スペクトラム障害などの発達障害でも不安はしばしばみられます。
不安は心の病気の症状では、とても頻度の高いものなのです。
心理学では、幼少期に親子関係から安心感が得られないと不安になりやすいと説明しています。
また、脳の神経科学では側頭葉の内側にある扁桃体など不安の原因となる脳領域がある程度特定され、不安になりやすさは個人差があり、その方の生まれつきの傾向であることも明らかになりつつあります。
不安になると、いつもそのことばかり考えるようになります。その結果、日常生活の行動がおろそかになります。また、不安にかられて間違った決定をする、過度に自己防衛をすることが多くなります。不安に伴う行動の大半は良くない結果を伴います。
心の病気でない方も含め、不安を適切にコントロールすることは、人生成功の鍵と言っても過言ではありません。
不安は本来起きる可能性がほとんどないことを、起きてしまうと錯覚している状態です。起きる可能性は大きなものではないのですが、可能性が大きいと錯覚し、不安に振り回されるのです。すなわち、ある不安がどの程度現実化するかについての認識が、現実離れしている状態といえます。
不安の本質はこのような現実離れです。現実離れすると、先のことばかり考えてますます不安になります。現実から遊離して不安にならないように、日々の地味な現実に目を向けましょう。
規則正しい生活をする、仕事に行く、学校に行く、掃除、洗濯をするなど、当たり前の行動を大切にしながら日々を過ごしましょう。そのような生活態度が現実に根ざしたものの考え方、感じ方を育みます。不安が現実化する可能性を正しく認識し、不安をコントロールすることを容易にするのです。
院長 高橋道宏