ステイホームによるメンタル疾患の改善から教えられること
2021年5月3日(月)
コロナ禍が1年以上も続き、一向に収束のめどがつきません。このような中で、テレワーク、リモート授業、不要不急の外出などステイホーム(できる限り自宅にいる)が推奨されています。
外出自粛により社会活動が減少し、人と人との対面の関わりが少なくなる中で、運動不足、肥満などの健康問題が発生しています。
メンタル疾患について言えば、コロナストレスによるコロナうつがある一方、ステイホームによりうつ病、適応障害などの病状が改善している方も多くおられます。メンタルな病気に対しては、ステイホームが一部の患者さんに思わぬ副次的な効果をもたらしたわけです。
ステイホームによる症状の改善には、通勤、通学などの負担が減ったことが関係しているかも知れませんが、対人ストレス、非効率な働き方が減ったことが主な要因と思われます。コロナ禍になる以前から、会議、出張が多過ぎる仕事、接待、飲み会などで帰宅が遅くなること、またPTA活動の多さなどがストレスだと訴える方が多くおられました。
これまでの社会生活の中で当たり前と考えれていた活動も時代の変化の中では私たちの生活実態にそぐわないものになっていたのかも知れません。ステイホームが推奨されるようになり振り返ってみると、実態にそぐわない非効率な活動を続ける社会の硬直性がストレスとなっていたことに気づかされます。
ステイホームによるメンタル症状の改善から教えられることは、メンタル疾患の改善のためには、ある程度の「心のソーシャルディスタンス」が必要だと言うことです。人と人とがどのように関わるべきかを良く考え、改めて生活を見直すことがうつ病などメンタル疾患の改善に結びつくものと考えれられます。
芦屋市 高橋心療クリニック
院長 高橋道宏