2021年5月17日(月)
うつ病などのこころの病気は、ストレスにより発病しますが、長く続き慢性化しやすい特徴があります。
これとは別に、ストレスにより発病するものの、短期間に治癒してしまうこころの病気もあります。これが急性ストレス反応です。
急性ストレス反応は次のように定義されています。
他に明らかな精神障害を認めない個人において、例外的に強い身体的及び/または精神的ストレスに反応して発現し、通常数時間か数日以内でおさまる著しく重篤な一過性の障害である。(ICD–10(国際疾病分類)
「他に明らかな精神障害を認めない」は重要な点です。なぜなら、もしうつ病など他の精神障害が認められる場合は、診断が変更されるからです。
急性ストレス反応は、著しく強い身体的ストレス(例えば事故など)や精神的ストレス(例えば家族の死など)によって生じます。
数時間か数日以内におさまらず、それ以上持続する場合は別疾患に診断を変更します。
急性ストレス反応は初期の対応を誤れば、将来うつ病に発展する可能性があります。
症状がみられたら、できるだけ早く誰かに相談してつらい気持ちを受け止めてもらうと、すみやかに落ち着いていきます。
将来に苦痛を残さないために、心の病気は早期発見、早期対応が重要です。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏