2022年11月14日(月)
神経症になると絶えず不安になり、仕事、勉強などの日常生活に集中できなくなります。実態のない不安に怯え、冷静さを失います。
動悸、めまい、発汗、過呼吸などの身体症状も見られます。不安になると自律神経が緊張に傾き、身体症状が現れるのです。
身体症状は自律神経の乱れを反映したもので、心臓が悪いわけでもなければ、呼吸器が悪いわけでもありません。
しかし、神経症の方は自分の身体に敏感なため、ささいな身体症状でも不安を引き起こします。
身体症状に注意が集中すると、症状に対して更に過敏になり、不安が一層強くなる悪循環に陥ります(精神交互作用)。このような悪循環が神経症を治りにくくしていきます。
では、この悪循環から脱するためには、どうしたら良いのでしょうか?
気分や感情は、私たちの本能に根ざしています。自分で簡単にコントロールできるものではありません。
この不安を無理に取り除こうしても不安が深まるばかりです。
人間の感情は、海の波のようなものです。常に一定ではなく、時間ともに変化しています。
ですから、不安な気持ちはいつまでも続くことはありません。
身体症状への不安はそのままにして、今日すべき仕事、勉強、家事などの日常生活に集中するのです。
このような生活態度が過度な不安に集中する悪循環から解放をもたらすのです。
身体への不安は、健康でありたい、建設的な人生を歩みたいという気持ちのあらわれです(生の欲望)。
生の欲望のエネルギーを不安ではなく、本来すべきことに向けることで、そのエネルギーをポジティブに使っていくのです。
このような建設的な生き方が不安からの解放の秘訣なのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏