2023年7月17日(月)
不安障害は、長期間にわたって過剰な不安や恐怖が続く、こころの病気です。全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害などが不安障害に含まれます。これらの不安障害は、日常生活に大きな影響を及ぼし、治療が必要です。
全般性不安障害では、常に何となく不安な状態が持続します。気分がすぐれず、スッキリしない感じがあります。パニック障害では、突然のパニック発作を経験し、再発の不安が見られます。
社交不安障害では、人前で話すことや他人との交流に強い不安を感じます。強迫性障害では、繰り返し行われる強迫的な行動が特徴です。
不安障害になると、日常生活全体が停滞してしまいます。仕事のパフォーマンスが低下し、リスクを取ることができなくなります。また、同僚や部下の些細な失敗にも敏感になり、些細なことで叱責してしまうかもしれません。
しかし、不安が治ると状況は全く逆になります。結果として、仕事のパフォーマンスが最大化されるようになります。不安が心の健康だけでなく、行動によって生み出される結果にも大きな影響を与えていることがわかります。
不安障害を乗り越えると、症状に悩まされる苦しみがなくなるだけでなく、仕事や勉強、家事などで本来の能力を発揮することができるようになります。
不安障害の治療には、抗不安薬が使用されてきましたが、ベンゾジアゼピン系抗不安薬には依存性があり、服薬には注意が必要です。使用する場合でも、できるだけ使用量を少なくする工夫が必要です。
また、薬に頼るだけでなく、不安は実態のないものであることを理解し、不安についてできるだけ考えず、目の前の現実に目を向けて行動を続ける習慣をつくることが重要です。
不安障害は治らない病気ではありません。多くの人々が不安障害を乗り越えて回復しています。適切な治療とサポートを受けることで、不安障害を克服することができます。
不安障害の治療が長引くと、「もう治らない」と自信をなくす方もいますが、心配はいりません。治らないという思い込みと負の自己暗示を取り除くことが大切です。
不安障害を理解し、対処することで、充実した生活を取り戻すことができるのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏