子どものうつ病とどう向き合うべきか?

2018年11月11日 月曜日

子どものうつ病は、重症な方は少なく、多くは軽症です。このため、子どものうつ病は、大人の場合と比べ気づきにくい特徴があります。

また、子どものうつ病では、生活リズムが乱れることが多く、単なる不摂生のため無気力な生活を送っているように見え、治療の開始が遅れる傾向にあります。

うつ病になると、大人でも子供でも、朝は調子が悪く、なかなか布団から出られません。学校を休んでしまうこともあります。

しかし、午後になるとだんだん調子が出始め、夕方には元気になってきます。ちょうど学校が終わる頃に調子が良くなるため、学校に行きたくないから調子が悪いようにも見えてしまいます。

夜になると益々調子が良くなり、寝る前には病気が治ったかのようにも見えます。

日中調子が悪く具合が悪かったため、やっと調子が良くなったということで、夜はなかなか眠らずネットで動画サイトを見たり、SNSで友人とやり取りしている例が多くあります。

親から見るとこのような生活は受け入れ難く、単にだらしのない生活に見えてしまうかもしれません。

しかし、多くの子供たちは、病気になる前には規則正しい生活を送っており、病気のためこのような生活に至ったと考えられます。

治療上はこのような不摂生な生活を直していくことが必要ですが、今起きている問題のすべてを不摂生な生活のせいにし、子供のうつ病を認めない立場をとっても、問題の解決に至る事はありません。

子どものうつ病ではまず専門家によりこれが単なる不摂生の結果引き起こされているものなのか、またはうつ病によって引き起こしてるのかを見分けてもらわなければなりません。

その上で生活リズムを元に戻す努力が欠かせません。規則正しい生活を送ることが治療の基礎なのです。このような基礎がなくては、どのようなお薬を使おうとも、どのようなカウンセリングを受けようとも、病気が完治する事はありません。

子どものうつ病治療においては、規則正しい生活ができるように指導しなければなりません。しかし、子どもは好きでそのような生活を送っているわけではありませんから、頭ごなしに叱責してはなりません。

このようなことをすると、本人が家族に理解されていないと思うようになります。このことが孤独感を生み出し、治療を遅らせる結果となってしまいます。

ですから、本人の状態をよく理解しつつ、適切なアドバイスにより生活リズムを元に戻し、病気が完治する方向に持っていかなければなりません。

子どものうつ病は、本人の治療への意欲を引き出すことが大切です。生活リズムを改善することにより調子が良くなるなど、小さな成功体験を積み重ねると良いのです。

このような対応をとり、子どもを規則正しい生活に導く中で、必要があれば抗うつ薬などの薬も使うことにより、子どものうつ病は完治に向かうでしょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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