ADHDにみられる未発達のスキル

2018年11月19日 日曜日

注意欠如多動性障害(ADHD)の症状は、お薬により大きく改善します。特に「集中力がない」「ミスが多い」「落ち着きがない」などのADHDの中心的な症状は、お薬を服用すると劇的に改善していきます。

効き目が早いお薬でしたら、数日でも効果の違いを実感することができます。あまりにも効果があるので、もっと早く治療を始めれば良かったという声をよく聞きます。

ところが、ADHDの症状でも、「部屋をきちんと片付ける」「計画的に物事を実行する」「優先順位をつけて複数の仕事をこなす」などの点は、お薬を飲んだだけでは簡単に改善しません。

なぜでしょうか?これらの点には、お薬の効果はないのでしょうか?

ADHDの方は、集中力が足りない、すぐに飽きてしまうなどの症状のため、部屋を片付けようとしてもうまくいきません。また、計画的に物事を実行する習慣もありません。

このようなスキルは、本来子どもの頃からのトレーニングにより獲得していくものです。ところがADHDでは、何度やってもうまくいかず、ある時点ですっかりトレーニングすることを諦めてしまい、これらの点が未発達のスキルとなっているのです。

未発達のスキルは、言わば発達から取り残されたスキルです。未発達のスキルは、お薬によりある程度症状が改善すると、トレーニングで改善の余地が出てきます。

これまでは何度やってもうまくいかず諦めていたかもしれません。でも、お薬により症状が良くなった時は、トレーニングで改善するチャンスです。お薬の助けを借りること、良くなってきたら適切なトレーニングを受けることが治療上最も大切なのです。

院長 高橋道宏

アーカイブ

PAGE TOP