うつ病と不眠

l2019年3月4日 月曜日

こころの病気になると、眠れなくなる方が多くなります。特にうつ病では、ほとんどの方が眠れなくなります。以前は普通に眠れていたのに、うつ病になってから眠れなくなったのです。

寝つきが悪い、眠りが浅い、途中で何度も目覚める、早朝に目覚めてしまい眠れなくなる、など睡眠の質が悪くなります。

うつ病の方は、朝の調子が悪く、起床困難になることがあります。うつ病の不眠は、夜は眠れず朝は寝起きられない、いわゆる昼夜逆転の生活に発展していきます。

うつ病でみられる不眠は、うつ病になった結果生じたものです。うつ病が良くなれば、不眠は自然に良くなっていきます。軽度の不眠であれば、睡眠薬を使わなくても、休養と抗うつ薬による治療で睡眠の質は自然に良くなっていきます。

もし睡眠薬を使用するとしても、強力なお薬は必要ありません。睡眠作用が強力な薬は、翌朝に眠気が残り、起床困難となる可能性があるからです。これはうつ病治療の前提となる規則正しい生活とは相容れないものとなります。昼夜逆転の生活は、特に中高生にみられます。

うつ病は自然に回復していきます。治すというよりも、治っていくのです。誰でもうつ病から回復していく回復力があります。このうつ病からの回復力を十分に働かせるためには、しっかりとした睡眠をとる必要があります。

そのためには、あまりにも眠れない場合は睡眠薬を飲むことを躊躇する必要はありません。睡眠薬はうつ病が良くなった時にやめれば良いのです。ほとんどの睡眠薬は、目に見えた依存性はなく、後でお薬を止めることが可能です。

ですから、睡眠時間が毎日2時間以上も短くなった場合には、睡眠薬を服用するようにしましょう。

睡眠はこころの健康のバロメーターです。特にうつ病ではこのことがとても良く当てはまります。うつ病になったとき、ほとんどの方は不眠になります。調子の良い時はよく眠れます。逆に、調子の悪い時は眠りが浅く、何回も夜中に目覚めます。

その意味では、睡眠はこころの健康の鋭敏な指標と言うことができます。睡眠薬を使うのは、ただ単に眠れないからではありません。睡眠薬を服用するのは、規則正しい日常生活を送るためです。規則正しい日常生活を送ることがうつ病からの回復力を最大限に引き出すことにつながるからです。

院長 高橋道宏

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