適応障害の治療について

2019年6月17日 月曜日

適応障害は、ストレスによりうつ、不安、動悸、めまいなどの症状が引き起こされる心の病気です。適応障害は、うつ病と似ていますが、うつ病とは異なります。ストレスから離れると、症状は速やかに改善するからです。

適応障害になると、仕事、学校、家庭などにおける日常生活をこれまで通り行うことができなくなります。適応障害には人口の1%程の方がかかるといわれていますが、当院では、心の病気が原因で休職になる方の多くは適応障害です。

適応障害の発症には、ストレスが関係しています。上司によるパワハラ、いじめ、長時間労働、家族の病気など様々なことがストレスになります。

精神的なストレスは、ある人にはストレスに感じることが他の人にはそうではないことがあり、一人一人の感じ方やストレスへの耐久力が大きな影響を及ぼします。ただし、適応障害になった方が特別に心が弱いと言うわけではありません。

適応障害の治療は、ストレスから離れることとストレスに対して適応力を高めることが中心になります。抗うつ薬などのお薬を使うこともありますが、あくまで対症療法で根本的な治療ではありません。

適応障害はストレスによって発症していますから、可能な範囲でストレスを遠ざけることが必要です。また、認知行動療法、ストレスコーピング、アサーショントレーニングなどの心理的な治療によりストレスへの適応力を高めることも大切です。

適応障害と診断されても、後にうつ病などの診断名に変更されることがあります。つまり、適応障害はうつ病などの前段階の可能性もあるといえます。ストレスがなくなっても、憂うつ気分、不眠などがいつまでも続く場合は、うつ病と診断される可能性が高くなります。

ですから、適応障害のうちにしっかりと治療を受け、症状の慢性化を避け、うつ病予防することがことが大切です。

院長 高橋道宏

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