2020年2月10日 (月)
うつ病は頻度が高い病気です。有病率は3%から16%で、心の病気では目にすることが多い病気です。私たちの職場や家族、また友人でうつ病の方は少なくありません。
うつ病が治りにくいとも言われますが、実際の治療成績はそう悪いものではありません。初回治療では、少なくても3分の2の患者さんはほぼ病前の状態に戻っています。
しかしながら、うつ病が慢性化してなかなか良くならないケースもあります。そのようなケースはかなり長年にわたり治療を受けています。
症状は常に悪いわけではなく、良くなったり悪くなったりで波があります。体調に波があるので、仕事は休みがちになり、安定して日常生活を送ることができません。
そのようなケースをみるとうつ病が治りにくいように思えるかもしれません。では、どのようなケースが慢性化するのでしょうか。
慢性化する原因の一つに、病気が良くなったものの、再び悪くなり再発する場合があります。
また再発を繰り返す場合もあります。うつ病の約50%は再発します。一度再発すると次にまた再発する確率は75%位になります。
したがって再発を繰り返せば繰り返すほど、再発する可能性が高まることになります。再発を繰り返すとだんだん持病のようになっていきます。
うつ病は再発することが多い病気です。再発させないためには、初回治療が大切です。
初回治療をしっかりと受け、再発しないようにしましょう。
そのためにはうつ病が完全に良くなってもすぐに薬を止めてはいけません。
世界各国のうつ病治療ガイドラインでは、うつ病が完全に良くなってからも、再発を予防するための服薬が6ヶ月から9ヶ月間必要とされています。
安易に自己判断で薬を中断してはいけません。
うつ病を、慢性化させず、初回治療で完全に治してしまいましょう。すでに慢性化させてしまった場合は、これ以上再発を繰り返さないため、しっかりと治療を続けましょう。
院長 高橋道宏